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休み方改革!つながらない権利の調査からみる現状と課題

スマホを見て悩む働く女性

働き方の多様化にともない、日本でもテレワークが広く普及してきました。働き方が大きく変化する中、仕事とプライベートの境界線が曖昧になり、勤務時間外にも職場や取引先との連絡への対応を求められるといった課題に関心が高まっています。日本労働組合総連合会(連合)が行った調査では、勤務時間外の連絡に関する現状と課題が明らかになっています。この記事では、連合の調査結果を通じて、働き方改革に必要な休み方改革と、海外での動向について探っていきます。

海外ではつながらない権利の法制化進む

海外ではつながらない権利の法制化が進んでいます。2017年に最初につながらない権利を法制化したフランスをはじめ、イタリアやポルトガル、ベルギーなど、特にヨーロッパで広がりを見せています。これらの国々以外でも、つながらない権利への関心の高まりや法整備への動きが見えます。オーストラリアでは労働者の「連絡遮断権」を定めた法律が2024年2月に制定されました。
つながらない権利は緊急性の高いトラブルへの対応が遅れるなど考慮すべき課題も存在しますが、労働者の生産性や満足度の向上が期待されています。
現在、日本ではつながらない権利に関して法制化はされていませんが、一部企業では業務時間以外のメール等の対応を禁止したり、その関心は高まりを見せています。

【つながらない権利とは?】
勤務時間外(休日、休暇日含む)に、仕事上のメールや電話への対応を労働者が拒否することのできる権利のこと。

“つながらない権利”に関する調査 2023のデータ

日本労働組合総連合会(連合)は「“つながらない権利”に関する調査 2023」を2023年12月に公表しました。この調査ではインターネットで2023年9月13日~20日に実施し、18歳~59歳の労働者1,000人(うち雇用者942人)の有効サンプルを集計しています。

【勤務時間外の連絡の現状】
調査結果によると、勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることがある雇用者は72.4%に上り、コロナ禍前よりも8.2ポイント上昇しています。さらに、勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくることがある雇用者も44.2%にのぼります。

【勤務時間外の連絡に対し雇用者はどう感じているか】
雇用者のうち「勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくるとストレスを感じる」のは62.2%となり、66.7%が勤務時間外の社内連絡を制限する必要があると思うと回答しています。取引先からの時間外の連絡の制限に関しても、67.7%が「制限の必要があると思う」という結果でした。

【実態調査や社内ルールの有無】
また、雇用者に対し自身の職場では“勤務時間外の業務上の連絡”について調査等の実態把握が行われたことはあるか聞いたところ、「ある」が 20.5%、「ない」と「わからない」の回答を合わせると79.6%となりました。ほとんどの職場で実態調査は行われていないようです。ただ、テレワークの可否別にみると、実態把握が行われたことがあると回答した人の割合は、テレワークができる人では 27.3%と、テレワークができない人(13.3%)と比べて実態調査が行われた割合は高くなっています。
勤務時間外の業務上の連絡に関するルールがあるかどうか(公式なルール・非公式なルールを問わず)の雇用者の回答結果をみると、ルールが「ある」が25.8%となり、多くの企業ではルールが定められていない現状が分かります。
一方で、ルールが「ある」と回答した雇用者の73.3%が「ルールがあることで実際に取引先からの連絡が少なくなっている」と実感しており、ルールを定めることの効果は大きいようです。

【つながらない権利への意識】
つながらない権利についての質問では、「“つながらない権利”によって勤務時間外の連絡を拒否できるのであれば、そうしたいと思う」との回答は72.6%にのぼり、“つながらない権利”の行使を求める人が多いようです。

この調査結果から、日本でもつながらない権利への関心が高まっていることを感じます。

出典:“つながらない権利”に関する調査2023|連合

休みベタな日本人こそ、休み方改革に意識!

実は日本の祝日の数は世界的に見ても多いことをご存知でしょうか?
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、主要7か国(G7)の中では祝日が最も多い国となります。
日本の有給取得率は年々増加しており、令和4年度調査では年次有給休暇取得率が62.1%と、昭和59年以降過去最高となりました。しかし、海外と比べるとまだまだ低いと言えます。
日本では、祝日など完全に制度化されていれば休むことはできても、「周りに迷惑がかかる」「上司に言いにくい」「職場で取得しづらい雰囲気」と自主的に休みをとることが苦手な労働者が多く存在します。十分に休みを取れている実感がない労働者が周囲にも多いのではないでしょうか。しかし、しっかりと休息を取ることはワークエンゲージメント(働きがい)の向上にもつながります。労働生産性を上げるためには、休み方の見直しが必要です。


連合の調査結果から分かるように、労働者の多くはつながらない権利へのニーズを持っています。
働き方が多様化し、いつでもどこでも仕事ができて、繋がってしまう状況下では、従業員を守るため業務時間外の連絡や対応に関してもルールを定めることがマネジメント側には求められています。

働き方と休み方は表裏一体です。新しい働き方が拡がる一方で、新しいルール作りや社内規定の見直しが必要です。
長時間労働を防ぎ、十分な休息がとれる職場環境で働き手のワークエンゲージメント(働きがい)を高め、テレワークやハイブリッドワークの効果を最大限に発揮していきましょう。

<参照>
世界の祝祭日|日本貿易振興機構(ジェトロ)
働き方・休み方改善ポータルサイト|厚生労働省
令和5年就労条件総合調査の概況|厚生労働省


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