テレワーク導入のステップ
一般的なテレワーク導入のステップです。各ステップのポイントをおさえ、全体像を把握しながら導入ステップを進めて行きましょう。
社内制度や施策を担当する部門が中心となり、導入対象部門代表者を加えた、全社横断的な推進体制(プロジェクトチーム)をつくることをお勧めします!
役立つ!参考資料
厚生労働省 『テレワークではじめる働き方改革』(PDF 17.7MB)
Step1 導入目的の明確化
テレワークの導入を実施することで、どのようなことが得たいのか、導入の目的を明確化することが重要です。
例えば、テレワークによる勤務地にとらわれない人材の確保や、業務効率化などが挙げられます。どのようなことが課題なのか、テレワークの導入によりどのようなことが解決できるのかを検討しましょう。
また、経営層から従業員へその意図を説明し理解を得られるようにすることも重要です。その上で、テレワーク導入におけるポリシーや基本方針といったガイドラインを定めましょう。
Step2 対象範囲の決定
どのような従業員、どのような業務を対象とするのか、テレワークの対象範囲を決めましょう。
従業員の理解が得られることや効果が具体的で分かりやすいことから育児や介護を必要とする従業員を対象者とするケースが多いです。
しかしその場合、特別扱いされていると感じ、気兼ねなく制度を利用できないといった声も少なからずあります。テレワークを導入してしばらく経過したあとは、対象者はなるべく広げることが望ましいと言えます。
業務の洗い出しチェックポイント
- 業務にかかる時間
その業務にどれくらい時間がかかるか - 使用する書類
その業務で使用する書類はあるか、その書類は紙媒体か電子ファイルか - 使用するシステムやツール
テレワークでも実現可能なシステムやツールが揃っているか - セキュリティリスク
業務上で取り扱う個人情報があるか - コミュニケーション量
業務は何人で行うか、関係者とのやりとりはどのくらいか
Step3 現状把握・課題の認識
社内の現状を把握し、テレワークに移行する際に課題となる点を明確にすることが先決です。
チェック項目例
- テレワークができる環境の整備(ネットワーク、PCなどのICT環境)
- テレワーク体制の整備(クラウドサービスなどで場所を問わずに業務ができるか、紙→電子などの準備はできているか)
- 個人情報保護体制やセキュリティ体制などに不備はないか
- 就業規則に基づく制度などに支障がないか、修正は必要か
- テレワーク時に正答な人事評価が行えるか
Step4 導入計画の策定
テレワーク導入に向けた計画の策定や社内ルールを決めましょう。
テレワークの形態、頻度の設定
テレワークは「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」に分類されます。業務内容や部門に適した形態を選択しましょう。
在宅勤務の場合は、部分在宅もしくは終日在宅勤務にするのか。サテライトオフィス勤務の場合は、「自社専用」のみなのか「シェアオフィス」も認めるかといった細かな部分も詰めておくことが大切です。
テレワークの頻度については、導入当初は週1~2日程度から開始し、徐々に頻度を増やしていくとスムーズに移行できます。
テレワーク勤務に関する規定を決める
自社の勤怠管理方法を確認し、テレワーク勤務に関する規定を就業規則に盛り込みましょう。
また、始業・終業時刻の記録を残せるよう、勤怠管理システムなどのツールをあらかじめ導入することも重要です。勤怠管理ツールを導入しない場合も、今あるメール等のツールを使い、報告・連絡・相談を細かく実施することが必要です。
紙文書の電子化を行う
テレワーク導入に向け、紙文書の電子化も欠かせません。文書の電子化をすることで、web上で書類への捺印・回覧ができたり探しやすくなる等、業務の効率化を図ることが可能となります。
ただし、紙文書の電子化は、実施までに時間や手間がかかるため、早めに計画を立て優先的に電子化すべき書類の選定を行いましょう。
役立つ!参考資料
厚生労働省『テレワークモデル就業規則』(PDF 1.54MB)
厚生労働省『テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン』(PDF 11.4MB)
役立つ!参考サイト
テレワークセンターソリューション紹介サイト
Step5 実施環境の整備
テレワークを導入する際は、実施環境の整備が必要不可欠です。
労務管理体制の整備
始業・終業時刻を記録する勤怠管理や、業務進行をまとめる業務管理といった労務管理体制の整備を行うことも重要です。
たとえば、webで始業や終業などの記録を残せるクラウド型の勤怠管理ツールを使用したり、PCのログ取得により労働時間を把握できるツールなどを導入することも検討しましょう。
ICT環境の整備
以下のいずれかの仕組みがあれば、既存のICT環境をテレワークように構築することも可能となります。
- リモートデスクトップ
オフィスで使用するデスクトップを遠隔で操作できる。ただし、テレワークで利用する端末への保存は不可 - クラウドサービス
クラウドサービスを利用することで、場所を問わず、社内外からアクセスしてデータやファイルなどの閲覧・保存が可能 - 会社貸与PC、BOYD端末
会社が貸与するPCを自宅で利用する方法。または私用のPCで業務を行うBYODを導入するといった方法
セキュリティ体制の整備
社外でPCやタブレットなどの端末を利用することで、ウイルス感染による情報漏えいや、社外からの不正アクセスが起こるリスクも考えておかなくてはいけません。
これには、ウイルス対策ソフトの導入や、社外からの不正アクセスへの対策に効果的なファイアウォールなどを導入するといった水際対策が必要です。
また、IPS(侵入防止システム)やIDS(侵入検知システム)などを導入すれば、不正アクセスが侵入した際に速やかに検知・排除が可能となります。
役立つ!参考資料
総務省『テレワークセキュリティガイドライン第5版』(PDF 4.6MB)
総務省『中小企業担当者向けテレワークセキュリティの手引き第2版』 (PDF 3.95MB)
Step6 研修等、説明会の開催
テレワークを実施するにあたり、導入時の研修や説明会の開催を行うことは必須です。
全社員に対して、目的や必要性を伝え理解を深めてもらうことができます。
これにより、社内全体でテレワークを有効活用して業務の生産性を向上させることが可能です。
Step7 テレワーク実施
はじめての企業は、一部の部署から小さく始めてみるのもよいでしょう。定めた制度やルールの改善点が見つかった場合に軌道修正しやすく、体験談や小さな成功事例を全社に共有することで、万全な状態で本格導入に望むことができます。
役立つ!参考資料
Step8 テレワーク推進のための評価と改善
実際にテレワークが施行された後は、その効果や改善ポイントを知ることも運用上において必要です。
定量評価
- 顧客対応(顧客対応回数、顧客対応時間)
- 残業時間(テレワーク対象者とオフィス出社社員で比較)
- 事務処理(伝票の処理件数、企画書の作成件数)
- オフィスコスト(オフィスの賃貸費用、電気代)
- 移動コスト(移動時間、通勤費用、出張費用)
- 情報通信コスト(インターネット費用、情報システム保守費用)
- 人材確保(入社応募者の数や質、離職者数)
定性評価
- 業務改善(情報・知識の共有)
- コミュニケーション(業務クオリティや頻度)
- 情報セキュリティ意識の理解度
- 業務の自律性
- 働き方の質(仕事・働き方
- 会社への満足度、通勤疲労度)
- 生活の質(ワークライフバランスの充実度)
失敗しないテレワーク導入の秘訣
- テレワークもビジネススキル。試しながら慣れることが重要
- 全社横断の推進体制を構築する
- テレワーク導入の目的を明確にする
- 業務を軸としたスモールスタートで成功体験を集める
- 現場が活用できるテレワーク制度を整備する
- 社員への周知を徹底する、不安や疑問に丁寧に応える
- 効果検証をして課題に取り組む これからの主流は「ハイブリッド・ワーク」生産性が上がる勤務場所を選ぶ時代へ!